ファクタリングの種類(2者間/3者間の違い、対抗要件、オンライン型/オフライン型の別等)
ファクタリング取引の種類について
ファクタリング取引にも、種類や条件、方法などにいくつかのパターンが存在します。
それぞれについて代表的な区分を3つほど紹介します。
契約の種類について
2者間ファクタリングでは、利用者とファクタリング事業者の2者でファクタリング契約を締結します。つまり、売掛先(売掛債権の債務者)は利用者がファクタリングを利用(契約)していることがわかりません。そのため、売掛先は、引き続きファクタリングの利用者を売掛債権の債権者と認識し続けることになります。もっとも、取引上、利用者は売掛債権をファクタリング事業者に買い取ってもらい(債権を譲渡する)、譲渡代金をファクタリング事業者から受け取ることにより資金調達を図ることができます。
2者間ファクタリングのポイントは、売掛先がファクタリングの利用者を引き続き債権者と認識し続ける点です。そのため、売掛先はファクタリング取引後も利用者に対して売掛金の支払いを行うことになりますので、ファクタリング事業者は、“売掛金の回収“と”回収した売掛金(回収金)をファクタリング事業者へ引き渡す“という事務(回収事務)を利用者に対して委託することになります。回収事務の委託を受けた利用者は、支払期日が到来すると売掛先へ売掛金の支払いを求め、支払われた売掛金をファクタリング事業者へ引き渡します。このように利用者は、回収事務に基づいて売掛先から支払われた売掛金をファクタリング事業者へ引き渡す義務を負うことになりますが、万が一、売掛先から支払いがなかった場合は引き渡すべき売掛金(回収金)がありませんので、利用者は、ファクタリング事業者に対する引渡義務は生じません。
3者間ファクタリングは、売掛先もファクタリング契約の当事者に加わることになります。3者間ファクタリングにおいても、2者間ファクタリングと同様に、利用者は、ファクタリング事業者に売掛債権を買い取ってもらい、その譲渡代金を受け取ることにより資金調達を図ることが可能ですが、2者間ファクタリングと異なる点としては、契約の当事者となる売掛先はファクタリング事業者に売掛債権が買い取られている(譲渡されている)ことを認識していることになります。そのため、3者間ファクタリングにおいては、ファクタリング事業者から売掛先に対して自己(ファクタリング事業者)の口座に振り込んでもらうための通知を行うことになります。この通知に基づいて、利用者を介することなく売掛先からファクタリング事業者の口座に直接売掛金が支払われることになります。
対抗要件の有無について
対抗要件とは、債権譲渡の事実を債務者及び第三者に対して主張するための法律的要件です。
対抗要件という概念について、わかりやすい例をあげるとすれば、不動産登記の例があります。登記されていることにより、不動産の所有者は誰なのか、不動産に銀行等の金融機関の担保(抵当権)がついているかが公示されることになります。不動産登記制度は、誰が不動産の権利者等であるかを公に示す制度です。
ファクタリング事業者は、自己が債権を譲り受けたことについて対抗要件を具備しない場合、自身が債権者であるということを債務者及び第三者に対して対抗(主張)することができなくなります。例えば、利用者の債権者がファクタリングの対象となった債権を差し押さえたり、利用者が破産した場合、ファクタリング事業者がこれら債権者や破産管財人に対して、債権を譲り受けたことを主張できなくなるリスクがあります。
そのため、上記のようなリスクを取りたくないファクタリング事業者は、対抗要件の具備を行うことになります。
しかし、債権譲渡の対抗要件は、債務者(売掛先)への(債権譲渡が行われた旨の)通知によって具備することが可能とされており、このような通知が売掛先に対して行われることにより、売掛先に対して債権譲渡の事実が明らかになる点には留意が必要です。また、対抗要件の具備には(前述した)売掛先への通知のほか、法務局において債権譲渡登記を具備する等の方法が考えられますが、いずれもそれなりの対応コストがかかるため、ファクタリング審査に時間がかかる、手数料が高くなるなど利用者への影響が生じる可能性があります。
このように、対抗要件を具備することによって、ファクタリングのメリットである「資金調達の迅速性」や「取引先に知られない」などの要素が失われてしまうこともあり、特に、後述するオンライン型のファクタリング取引等においては、対抗要件を具備せずに取引が実行されることも少なくありません。
契約方法について:オンライン型/オフライン型
契約は当事者間の合意(申込みとそれに対する承諾)によって成立しますが、当事者間の合意は必ずしも書面で行う必要はありません。
昨今、利用者の申込みの手軽さや契約完了までのスピード感から、オンライン上でファクタリング取引の申込みと承諾がなされ、取引が完了するオンライン型のファクタリングサービスが増えてきています。これに対して、利用者とファクタリング事業者が対面上でファクタリング取引に係る契約書を取り交わす等のオフライン型のファクタリングサービスもあります。